ヘッダー
home
main
Lesson:1
犬の歯の病気にはどんな
ものがある?
Lesson:2
歯と歯周組織の構造を
知ろう!
Lesson:3
実は重要!歯の本数と
歯並びを知ろう
Lesson:4
よくある犬の歯のトラブル@
歯周病 前編
Lesson:5
よくある犬の歯のトラブル@
歯周病 後編
Lesson:6
よくある犬の歯のトラブルA
破折・咬耗
Lesson:7
ホームケア編@
口膣内のトラブルに
早く気づこう!
Lesson:8
ホームケア編A
歯のお手入れに
慣れさせよう!
Lesson:9
ホームケア編B
コツをおさえて上手に
歯みがき!
Lesson:10
ホームケア編C
子犬にやってあげたい
オーラルケア
Lesson:11
ホームケア編D
高齢犬にやってあげたい
オーラルケア
 
 
皆さんは犬の歯のトラブルというと何を思い浮かべますか?
動物病院を訪れる飼い主さんによく聞かれるのは「うちの子、虫歯がありますか?」ということ。
人の歯のトラブルと言えばまず虫歯ですから、無理もありませんが、実は犬では虫歯は非常に珍しいのです。
私がこれまで診療した中でもたった5例しかありません(猫ではなし)。
犬はなぜ、虫歯になりにくいのか。そこには人と犬の「口腔内の環境の違い」があります。
 
まず知っておいていただきたいのは口腔内のペーハー(pH)の違い。pHは物質の酸性・アルカリ性の度合いを示す数値ですが、犬の口腔内はpH8〜8・5でアルカリ性、人ではpH6・5〜7で弱酸性です。そもそも虫歯は、虫歯菌が口腔内で炭水化物(糖質)を発酵させて酸を作り、それが歯の表面の組織を破壊していくもの。犬の場合、口腔内がアルカリ性のため、虫歯菌が繁殖しにくいとされます。また、人の唾液には食べ物の中のデンプンを糖に分解するアミラーゼという酵素があります。犬にはこれがないため、口の中に糖があまりとどまりません。
さらに、歯の形状の違いもあります。人の歯の多くは臼のような形なので、放っておけば咬み合う面のくぼみにばい菌がたまります。一方、犬の歯はほとんどが薄くとがった形をしているので、ばい菌がたまりにくいのです。
こうした違いが理由で、犬には虫歯が少ないのだと考えられています。
 
それでは、犬に多い口腔内の病気をあげてみましょう。皆さんがよく耳にするのは、歯周病でしょう。歯垢や歯石が原因で歯の周辺の組織に炎症が起こる疾患です。
人間でもよく見られますが、犬猫では非常に多く、3歳以上の8割が罹患していると言われます。犬の口腔疾患の代表例です。
歯自体のトラブルで多いのは「破折(はせつ・歯が折れる)」や「咬()耗(こうもう・歯が磨り減る)」です。
喧嘩や事故のほか、固いオモチャやオヤツを噛んで起きることも。折れたり磨り減った部分からばい菌が入ると重篤な疾患を引き起こすため、注意が必要です。
小型犬や短頭種によく見られるのが、歯の咬み合わせや歯並びの異常です。乳歯が抜けずに残る「乳歯遺残」はその原因のひとつとなります。「多少、歯並びが悪くても大丈夫」と見過ごされがちですが、長期的には歯周病を引き起こすなどさまざまな問題につながります。歯の表面を覆うエナメル質が何らかの理由で形成されない「エナメル質形成不全」や口腔内の腫瘍などといった病気もあります。
飼い主さんに適切なオーラルケアをお伝えする第一歩として、まずはこうした犬の口腔内環境の特徴やよくある病気を押さえておいてほしいと思います。
 
Footer