1冊あればインフォームドコンセントの際に重宝

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小動物外科疾患のメカニズム―疾患に最適な手術をするために―【第3版】

インターズー オフィシャルサイト wrote

対象書籍:小動物外科疾患のメカニズム―疾患に最適な手術をするために―【第3版】

投稿者名:Metal4ever

臨床年数・実務年数:10年

 

本書は、タイトルが示すように外科疾患のメカニズム、すなわち各疾患の病態発生について解説している。そのため、外科の手術手技について書かれたものではない。編者であるBojrab氏の序文によれば、“CURRENT TECHNIQUES IN SMALL ANIMAL SURGERY”の姉妹編という位置づけらしい。“CURRENT TECHNIQUES IN SMALL ANIMAL SURGERY”は手術方法を解説した本であるが、本書は手術以前に知っておくべきこと、それぞれの外科疾患と向き合うポイントをエビデンスに基づいてまとめたものである。臨床経験の浅い獣医師が基礎と臨床を結びつけて考えるのにちょうどよい内容であるし、臨床で遭遇するほとんどの疾患が網羅されているので、外科手術を頻繁に実施していない施設でも手元に1冊あればインフォームドコンセントの際に重宝すると思われる。

「エビデンスに基づいた」「病態発生」というワードで小難しくつまらないイメージをもつかもしれないが、決してそのようなことはなく簡潔にわかりやすく書かれており、随所に臨床現場で有用な情報がちりばめられているので、個人的には純粋に読み物として(まるで岩波新書を読むような感覚で)楽しんでいる。また、各章がコンパクト(長くて10ページくらいに)にまとめられていることも、普段あまり読書習慣がない私のような読み手にはありがたい。全119章で構成されるが、1日1章ずつ読み進めていけば、あらゆる外科疾患と対峙できる知識がわずか4カ月で身についてしまう(かもしれない)。唯一のマイナスポイントは、A4版でおよそ1,000ページもあるので読書感覚で手に取るにはいささか厚くて重たいことであるが、これは執筆者らの熱い思いとして受け止めることにする。エキゾチック動物についての情報はあまり多くはないが、フェレットとウサギの代表的な疾患が解説されているので、エキゾチック動物の外科手術を行わない獣医師がインフォームドコンセントとして使うには十分な情報であると思われる。

残念なことにBojrab氏は2016年に亡くなっている(享年76歳)。彼のウェブサイト(http://drbojrab.com/)のトップ画面の笑顔を見たらなんだかもう1章読みたくなった。

 

<小動物外科疾患のメカニズム―疾患に最適な手術をするために―【第3版】>

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